ガスト(Ghast)は、伝統的な神話には直接登場しないものの、ゴシック文学やクトゥルフ神話、さらにファンタジーRPGなどで発展・定着したアンデッド系モンスターです。語源的・文化的に見ると、「ガスト」は幽霊や死霊にまつわる概念と深く結びついており、恐怖・死・腐敗・呪いといった象徴を持つ、現代神話的な存在です。
◆ 名前の由来と語源
- **「Ghast」**という言葉は英語の「ghastly(恐ろしい)」や「ghost(幽霊)」に由来。
- 中英語の「gast」(魂、霊魂)から派生した語で、恐怖・亡霊・死のイメージを強く帯びています。
◆ ガストの原型・文献的起源
1. クトゥルフ神話(H.P.ラヴクラフト)におけるガスト
- 初出:ラヴクラフトの短編小説『夢を継ぐ者』(1922年)および『未知なるカダスを夢に求めて』。
- 特徴:
- 地底世界「地底の夢の国」に棲む異形の種族。
- 鼻のない顔、大きな口、灰白色の皮膚。
- 人間のようだが、凶暴で退化した姿。
- ネクロノミコンなど、禁断の知識を追う者が出会う怪物。
→ ラヴクラフトのガストは、人間の成れの果てのような退化種族であり、暗黒世界の象徴的存在。
2. クトゥルフ神話以降の影響
- その後のホラー文学・ゲーム作品などで、ガストはしばしば以下のように描かれる:
- アンデッドの一種(上位ゾンビ)
- 腐敗した人型モンスター
- 瘴気や毒をまき散らす存在
- 理性を失った食屍鬼のような姿
◆ Dungeons & Dragons(D&D)におけるガスト
D&Dでは、ガストは食屍鬼(グール)と似たアンデッドモンスターとして定着しています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| アンデッド種 | 死体が冒涜的な魔法によって蘇った |
| 見た目 | 腐敗した人型、鋭い爪と牙 |
| 能力 | 強烈な死臭による「麻痺攻撃」、腐食した噛みつき、毒の瘴気 |
| 知性 | グールより高く、言語を話すこともある |
| 背景 | 特に邪悪な人間の死体がガストになることが多い |
→ 一般的なゾンビやグールの上位種であり、死と腐敗の象徴モンスターとして扱われます。
◆ 神話的・象徴的役割
ガストは、以下のような神話的・象徴的意味を帯びています:
| 象徴 | 解説 |
|---|---|
| 死と腐敗の恐怖 | 生命が終わった後もなお動き続ける不自然な存在 |
| 禁忌の知識 | ネクロマンシーや地底の秘術に関与することが多い |
| 人間の堕落と異形化 | 理性を失い本能だけで動く「成れの果て」 |
| 瘴気と穢れ | 地を腐らせ、周囲に病や死をまき散らす |
◆ 他作品での登場例
| 作品名 | ガストの特徴 |
|---|---|
| 『D&D』シリーズ | 麻痺攻撃や悪臭を放つアンデッド |
| クトゥルフ神話TRPG | 地底に潜む狂気の種族、知性あり |
| マインクラフト(Minecraft)※別物 | ネザーに出現する浮遊型モンスター(ただし本質的には無関係) |
| 『Pathfinder』や『エルダースクロールズ』 | 腐敗や瘴気をまとう中位〜上位アンデッド |
◆ ガストの位置づけまとめ
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 起源 | ゴシック文学・ラヴクラフト神話 |
| 本質 | 地下に棲む堕落者/知性を持つアンデッド |
| 主な力 | 麻痺・腐敗・瘴気・鋭利な爪 |
| 神話的役割 | 死・禁忌・堕落・恐怖の象徴 |
| 現代的扱い | 上位グール系モンスター、地底の恐怖の象徴 |
◆ まとめ
**ガスト(Ghast)**は、「死と恐怖が具現化した知性あるモンスター」として、クトゥルフ的な異界の恐怖と、RPGにおけるアンデッドの進化系の両面を併せ持ちます。神話のような明確な出典はないものの、**死や禁忌、堕落といった神話的テーマを現代的に表現した“新しい神話の怪物”**といえるでしょう。

