ツクヨミ/Tsukuyomi

1. ツクヨミとは

1.1 基本的な概要

ツクヨミ(月読命/月読尊、つくよみのみこと)は、日本神話に登場する神の一柱であり、月の神として知られています。彼は夜を司る神であり、太陽の神アマテラス(天照大神)や嵐の神スサノオ(須佐之男命)と並ぶ、「三貴神(さんきしん)」の一柱です。

ツクヨミの名前は、『古事記』や『日本書紀』などの日本神話の書物に記されていますが、他の主要な神々と比べて神話に登場する回数が少ないという特徴があります。特に、アマテラスやスサノオに比べるとエピソードが少なく、**「謎の多い神」**として語られることが多いです。

また、日本の皇室と深い関わりを持つ「三貴神」の一柱であるため、月や夜の象徴として信仰され、日本文化や神道に影響を与えてきました。

1.2 名前の意味と神格

ツクヨミという名前は、以下のような意味が込められていると考えられます。

• 「ツク(衝く)」:「月を読む(数える)」という意味。

• 「ヨミ(読/夜見)」:「読む」または「夜を見る」という意味。

このことから、ツクヨミは**「月を読む神」「夜を統べる神」**として解釈されます。また、「ヨミ」という音が「黄泉(よみ)」と似ていることから、死や冥界と関連付けられることもあります。

ツクヨミの神格には、以下のような特徴があります。

• 月の神:夜空に輝く月を象徴する神。

• 時間の神:月の満ち欠けを司り、時間や暦と関係が深い。

• 夜の支配者:昼を支配するアマテラスと対になる存在。

• 水や潮の神:月の引力が海の潮の満ち引きを左右することから、水や海とも関係が深い。

ツクヨミはこのように、月・夜・時間・潮の満ち引きと深く結びついた神として信仰されています。

2. ツクヨミの神話的背景

2.1 三貴神の誕生

ツクヨミは、日本神話における創造神イザナギ(伊邪那岐命)の禊(みそぎ)によって生まれました。このエピソードは『古事記』と『日本書紀』の両方に記されています。

イザナギの禊

イザナギは、死んだ妻イザナミ(伊邪那美命)を黄泉の国(よみのくに)から取り戻そうとしましたが、失敗しました。その後、黄泉の国の穢れ(けがれ)を祓うために、川で身を清めました。この禊の際に、以下の三柱の神が生まれました。

1. 天照大神(アマテラス) – 左目を洗ったときに誕生(太陽の神)

2. 月読命(ツクヨミ) – 右目を洗ったときに誕生(月の神)

3. 須佐之男命(スサノオ) – 鼻を洗ったときに誕生(海と嵐の神)

この三柱の神々は、「三貴神(さんきしん)」と呼ばれ、日本神話の中でも特に重要な存在とされています。

2.2 天界の統治

三貴神が誕生した後、イザナギはそれぞれに役割を与えました。

• アマテラス(天照大神) → 高天原(たかまがはら、天上界)を統治する

• ツクヨミ(月読命) → 夜の世界を統治する

• スサノオ(須佐之男命) → 海と嵐を統治する

ツクヨミは、アマテラスの弟として夜の世界を支配する立場となり、太陽と月が交互に世界を照らすことで、昼と夜の概念が確立されました。

2.3 ツクヨミとアマテラスの対立

ツクヨミの神話の中で最も有名なのが、アマテラスとの対立のエピソードです。この話は『日本書紀』に記されており、ツクヨミが地上に降りた際に起こった出来事です。

「保食神(うけもちのかみ)の殺害」

ある日、アマテラスはツクヨミに、「地上に行って、人々を見てくるように」と命じました。ツクヨミは、地上に降りると、**「保食神(うけもちのかみ)」**という食物の神に出会いました。

• 保食神は、ツクヨミをもてなすために、自分の口から食べ物を生み出して差し出しました。

• しかし、ツクヨミはこの行為を「汚らわしい」と感じ、怒りに任せて保食神を殺してしまいました。

この行為を知ったアマテラスは激怒し、「お前とはもう二度と会わない!」と宣言しました。これによって、ツクヨミとアマテラスは永遠に別れ、昼と夜が分かれることになったと伝えられています。

3. ツクヨミの象徴と信仰

3.1 象徴

ツクヨミは、日本神話において以下の象徴を持っています。

• 月:夜空に輝く神秘的な存在。

• 夜:太陽の光が消えた後の世界を司る。

• 時間と暦:月の満ち欠けが暦の基盤となるため、時間の神としての側面もある。

• 水と潮:月の引力が潮の満ち引きを左右するため、水の神としての性格もある。

ツクヨミはこれらの要素を通じて、日本文化や信仰に大きな影響を与えてきました。

3.2 信仰と神社

ツクヨミを祀る神社は日本各地に存在しますが、アマテラスやスサノオと比べると信仰の中心地は少ないです。

1. 京都府・月読神社

• 京都市にある神社で、ツクヨミを主祭神とする。

• 月の神としての信仰が古くから続く。

2. 伊勢神宮・外宮

• 月夜見尊(ツクヨミの別名)を祀る摂社がある。

3. 大阪府・住吉大社

• 海の神とともにツクヨミが祀られている。

ツクヨミの信仰は、特に**「月の満ち欠け」「農業」「潮の満ち引き」**などに関する祈りと結びついています。

4. まとめ

ツクヨミは、日本神話において月の神・夜の支配者・時間と潮の神として重要な役割を果たします。しかし、彼の神話はアマテラスやスサノオに比べると少なく、謎が多い存在でもあります。それゆえ、ツクヨミは神秘的な神として信仰され、日本文化の中で独特の地位を築いてきました。

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