1. アマテラスとは
1.1 基本的な概要
アマテラス(天照大神/天照大御神、あまてらすおおみかみ)は、日本神話に登場する最高神の一柱であり、太陽の神であり、高天原(たかまがはら)を統治する神として知られています。彼女は、神話において光・秩序・生命の象徴とされ、日本の皇室の祖神としても位置付けられています。
アマテラスは、日本最古の歴史書である『古事記』および『日本書紀』に記録されており、その中で彼女は、世界を照らし、天上界の秩序を守る神として描かれています。また、日本の皇室はアマテラスの子孫であるとされ、彼女は日本の国家神道においても特別な存在です。
1.2 名前の意味と神格
アマテラスの名前には、以下のような意味が込められています。
• 「アマ(天)」:天界を意味し、高天原に君臨する存在であることを示す。
• 「テラス(照らす)」:光をもたらす、照らすという意味を持つ。
このことから、アマテラスは**「天を照らす神」と解釈され、太陽の神としての役割を担っています。また、彼女は天皇家の祖神**とされ、国家的な神格を持つ神として信仰され続けています。
2. アマテラスの神話的背景
2.1 誕生と三貴神
アマテラスは、**イザナギ(伊邪那岐命)の禊(みそぎ)**によって誕生しました。イザナギは、妻イザナミを黄泉の国から取り戻すことに失敗し、その穢れを清めるために川で禊を行いました。このとき、以下の三柱の神が生まれました。
1. 天照大神(アマテラス) – 左目を洗ったときに誕生(太陽の神)
2. 月読命(ツクヨミ) – 右目を洗ったときに誕生(月の神)
3. 須佐之男命(スサノオ) – 鼻を洗ったときに誕生(海と嵐の神)
この三柱の神々は、「三貴神(さんきしん)」と呼ばれ、日本神話の中でも特に重要な存在とされています。
2.2 高天原の統治
イザナギは、三貴神の中で最も光輝くアマテラスを、高天原の支配者に任命しました。彼女は太陽の神として、天界を支配し、世界に光をもたらす役割を担います。一方、ツクヨミは夜の世界を、スサノオは海と嵐を司ることになりました。
アマテラスは、他の神々と共に高天原を治め、天上界の秩序を維持する重要な役割を果たしました。しかし、彼女の弟スサノオが問題を引き起こし、後の「天岩戸(あまのいわと)」の神話へと繋がります。
2.3 天岩戸神話(天の岩戸隠れ)
アマテラスの神話の中で最も有名なのが、「天岩戸(あまのいわと)」の物語です。この神話は、日本神話における光と闇の象徴的なエピソードとして広く知られています。
2.3.1 スサノオの乱暴
アマテラスの弟スサノオは、荒々しく暴れまわり、高天原に災厄をもたらしました。彼は以下のような乱暴を行いました。
• 田畑を荒らす
• 神々の殿堂を破壊する
• 神聖な機織り場で悪戯をし、女神を死なせる
この暴挙に耐えかねたアマテラスは、「天岩戸」と呼ばれる洞窟に隠れてしまいます。その結果、太陽の光が消え、世界は闇に包まれてしまいました。
2.3.2 神々の計略
世界が暗闇に包まれると、八百万の神々は相談し、アマテラスを天岩戸から引き出す策を考えました。彼らは以下の計略を用いました。
1. 天鈿女命(アメノウズメ)が踊る
• 神々の前で陽気な踊りを披露し、大騒ぎをする。
2. 鏡を使う
• アマテラスが洞窟の外を覗いた瞬間、自分の姿が映る鏡を用意する。
3. 力のある神が引き出す
• アマテラスが興味を持って出てきた瞬間、天手力男命(アメノタヂカラオ)が岩戸を開く。
この計略は成功し、アマテラスが再び世界を照らすことで、秩序と光が戻りました。
2.4 天孫降臨と皇室との関係
アマテラスは、日本の皇室の祖先とされる神であり、「天孫降臨(てんそんこうりん)」の神話と密接に結びついています。
彼女は孫である**瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)を地上(葦原中国)に遣わし、彼の子孫が日本を統治することを定めました。この神話が、日本の皇室が「天照大神の血を引く存在」**であるとする根拠となっています。
3. アマテラスの象徴と信仰
3.1 象徴
アマテラスは、日本神話において以下の象徴を持っています。
• 太陽:光、秩序、生命を司る存在。
• 皇室の祖神:日本の天皇家の起源とされる。
• 女性神の象徴:高天原を統治する神であり、母性や指導力を示す。
3.2 信仰と神社
アマテラスは日本各地で信仰されていますが、最も重要な神社は以下の通りです。
1. 伊勢神宮(いせじんぐう)
• 三重県伊勢市にあり、アマテラスを祀る日本で最も重要な神社。
• 「内宮(ないくう)」には、アマテラスの神霊が宿るとされる「八咫鏡(やたのかがみ)」が安置されている。
2. 熱田神宮(あつたじんぐう)
• 愛知県名古屋市にあり、三種の神器の一つ「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を祀る。
3. その他の神社
• 全国の多くの神社でアマテラスは信仰されており、特に皇室との関連が深い。
4. まとめ
アマテラスは、日本神話において太陽の神であり、高天原を統治する最高神です。彼女の神話は、光と闇、秩序と混沌の対立を象徴し、日本の皇室の起源とも深く結びついています。現在でも伊勢神宮を中心に広く信仰され、日本文化や歴史に大きな影響を与え続けています。

