八咫鏡は、日本神話に登場する三種の神器の一つで、神聖な鏡として非常に重要な役割を担っています。
天照大神(あまてらすおおみかみ)を象徴する神器であり、古代から皇位継承の証として用いられてきました。
• 三種の神器:
1. 八咫鏡(やたのかがみ) — 知恵・真実の象徴
2. 天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)または草薙剣(くさなぎのつるぎ) — 勇気の象徴
3. 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま) — 慈愛・繋がりの象徴
1. 八咫鏡の名前の意味
• **「八咫」**とは、「非常に大きい」ことを意味します。
• **「咫(あた)」**は古代の長さの単位で、約18cmとされています。
• 八咫は「八つ分の咫」、つまり非常に大きな鏡を指します。
• **「鏡」**は、古代では神聖視される存在であり、神の姿を映し出す道具として崇拝されていました。
2. 神話における八咫鏡の由来
◇ 天岩戸神話
八咫鏡が最も有名に語られるのは、**天岩戸(あまのいわと)**の神話です。
1. 天照大神の隠れ
• 弟である**須佐之男命(すさのおのみこと)**の乱暴な行いに怒った天照大神は、天岩戸という洞窟に隠れてしまいました。
• 太陽神である天照大神が隠れたため、世界は闇に包まれ、災いが広がりました。
2. 神々の策略
• 神々は天照大神を岩戸から誘い出すために、様々な策略を巡らせます。
• **思兼神(おもいかねのかみ)**の知恵により、岩戸の前で神楽を舞い、神々が楽しむ様子を見せつけました。
3. 八咫鏡の登場
• 天児屋命(あめのこやねのみこと)と布刀玉命(ふとだまのみこと)は、天照大神の姿を映すために八咫鏡を用意しました。
• 岩戸の隙間から鏡に映った自分の姿を見た天照大神は、興味を持って少し岩戸を開きました。
• その隙をついて**天手力男神(あめのたぢからおのみこと)**が岩戸を開き、天照大神を外に引き出しました。
• 世界は再び光を取り戻しました。
3. 八咫鏡の象徴的な意味
◇ 真実と知恵の象徴
• 鏡は、自らの姿を映し出す道具であることから、真実を見つめる力や自己認識の象徴とされています。
• 神話の中で、天照大神が鏡に映った自分自身を見たことで、自らの神性を再認識したと解釈されることもあります。
◇ 太陽の象徴
• 八咫鏡は、天照大神そのものを象徴する存在でもあります。
• 鏡が光を反射する性質は、太陽の光を象徴し、生命と繁栄の源としての意味を持っています。
◇ 皇位継承の象徴
• 八咫鏡は、後に天皇家の正統性を示す神器として位置付けられました。
• 「天照大神の魂が宿る鏡」として、伊勢神宮の内宮に祀られています。
• 皇位継承の際には、三種の神器が新天皇に受け継がれることが伝統とされています。
4. 八咫鏡の現存と伝承
八咫鏡は、現代においても重要な文化的・宗教的な存在として扱われています。
◇ 伊勢神宮の内宮
• 八咫鏡の原型とされる鏡は、伊勢神宮の内宮に祀られています。
• この鏡は**「御神体」**として厳重に守られており、一般の目に触れることはありません。
◇ 皇居
• 八咫鏡のレプリカは、皇居の**賢所(かしこどころ)**にも安置されています。
• これは、天皇が天照大神に祈りを捧げる際に用いられる神聖な存在です。
◇ 熱田神宮
• 草薙剣が祀られている熱田神宮や、八尺瓊勾玉を所蔵する神社と共に、三種の神器は日本各地で信仰の対象となっています。
5. まとめ
八咫鏡は、日本神話において神聖な役割を担うとともに、真実を映し出す力と天照大神の象徴として重要視されてきました。
• 天岩戸神話では、天照大神を岩戸から誘い出すために用いられた鏡。
• 真実と知恵を象徴する存在として、人々の心に根付いています。
• 皇位継承の証としての役割を持ち、日本文化における神聖な存在として今なお崇拝されています。
その輝きは、単なる鏡の枠を超えて、日本の神話や歴史、精神文化に深く刻まれています。

