オオヤマツミ(大山祇神)は、日本神話に登場する山の神であり、自然界の中でも特に山々や大地を司る神とされています。
その名は「大いなる山の神」を意味し、山の守護神や農耕神として崇敬されています。
また、彼は海の神ともつながりがあり、山の恵みが川を通じて海へと流れる自然の循環を象徴しています。
そのため、山・海・農耕をつかさどる重要な神として信仰されています。
■ オオヤマツミの系譜
オオヤマツミは、日本神話の創世神話に登場する神々の一柱です。
彼の家系は以下の通りです。
• 父:イザナギ(伊邪那岐命)
• 母:イザナミ(伊邪那美命)
• 兄弟:カグツチ(火之迦具土神)、ツクヨミ(月読命)、アマテラス(天照大神)など多数
• 娘:
• コノハナノサクヤヒメ(木花咲耶姫) … 花の女神
• イワナガヒメ(石長姫) … 岩の女神
オオヤマツミは、イザナギとイザナミの神生みにおいて生まれた神々の一柱であり、自然神としての性格を強く持っています。
■ オオヤマツミの神話
① カグツチ誕生と母の死
• イザナミが火の神カグツチを産んだ際、その火によって命を落としてしまいます。
• 激怒したイザナギはカグツチを斬り殺しますが、その血や身体から多くの神々が誕生しました。
• オオヤマツミもその中の一柱として生まれ、山の神としての役割を担うことになりました。
② 娘の結婚と人間の寿命の起源
• オオヤマツミの娘であるコノハナノサクヤヒメは、天照大神の孫であるニニギノミコトに見初められ、結婚を申し込まれました。
• オオヤマツミは喜び、コノハナノサクヤヒメとその姉であるイワナガヒメを一緒に差し出しました。
• イワナガヒメは岩の象徴であり、永遠の生命を与える存在、コノハナノサクヤヒメは花のように美しいが儚い命を象徴しています。
• しかし、ニニギノミコトはイワナガヒメの容姿が醜いことを理由に彼女を拒みました。
• これにより、人間の寿命は岩のように永遠ではなく、花のように儚く短いものとなってしまったと伝えられています。
③ オオヤマツミと海の関係
• 山の神であるオオヤマツミは、同時に海の神とも関係が深いとされています。
• 山から流れる川の水は海へと注がれ、豊かな漁場を生み出します。
• そのため、漁業や航海の安全を祈る際にもオオヤマツミが信仰されることがあります。
■ オオヤマツミの神格と象徴
1. 山の神
• 山の守護神として、山の恵みをもたらし、自然のバランスを保つ役割を果たします。
• 山岳信仰において、オオヤマツミは特に重要視され、多くの神社で祀られています。
2. 農耕・五穀豊穣の神
• 山の豊かな自然が雨や水をもたらし、農作物の成長を助けることから、農業の神としても信仰されています。
3. 海の神
• 山の水が川を伝って海へ流れ込み、漁場を豊かにするため、漁業関係者や航海の安全を願う人々からも崇められています。
4. 戦の神・武神
• 戦勝祈願の神としても信仰され、武士たちが戦の前にオオヤマツミに祈願を行ったとされています。
■ オオヤマツミを祀る神社
オオヤマツミは、全国の山岳信仰の中心として多くの神社に祀られています。
1. 大山祇神社(愛媛県今治市)
• 全国にある大山祇神社の総本社で、最も有名な神社です。
• 武士の守護神としても崇敬を集め、源義経や武田信玄なども参拝したと伝えられています。
2. 富士山本宮浅間大社(静岡県)
• 富士山の神霊を祀る神社で、オオヤマツミの娘であるコノハナノサクヤヒメが主祭神です。
• 富士山の守護神として、オオヤマツミも重要視されています。
3. 箱根神社(神奈川県)
• 関東地方の霊峰である箱根山を祀る神社で、オオヤマツミの神格が見られます。
■ 御神徳と信仰
オオヤマツミは、以下のような願い事で信仰されています。
• 山岳信仰:登山者や山の安全を祈る人々が参拝します。
• 農業繁栄:五穀豊穣や自然の恵みを願う信仰があります。
• 海上安全・漁業繁栄:海と山の関係から、漁業関係者にも信仰されています。
• 武運長久:戦国武将の中には、戦勝祈願のためにオオヤマツミを崇拝した者も多くいます。
■ まとめ
オオヤマツミは、山の神としての側面を持ちながらも、自然の循環を象徴する存在として、農業・漁業・戦勝祈願と幅広い御神徳を授ける神です。
その物語や神格は、自然と共に生きる日本人の精神を表しており、今でも多くの人々に敬愛されています。
山や自然に感謝の気持ちを持つことが、オオヤマツミへの信仰の原点ともいえるでしょう。

