**ヒノカグツチ(火之迦具土神)**は、日本神話に登場する火の神であり、火の象徴としての重要な役割を持つ神格です。その神話は『古事記』や『日本書紀』に記されています。
■ ヒノカグツチの誕生とイザナミの死
ヒノカグツチは、イザナギとイザナミの間に生まれた神です。
• イザナミが火の神であるヒノカグツチを産んだ際、その激しい炎によって重傷を負い、結果として命を落としてしまいます。
• この出来事は、日本神話における死の起源として語られており、ヒノカグツチの誕生は悲劇的なものとして描かれています。
このときのイザナミの死によって、黄泉の国の物語や、死と再生の神話が展開されることになります。
■ イザナギの怒りとヒノカグツチの最期
イザナミの死に怒りと悲しみを抱いたイザナギは、**十拳剣(とつかのつるぎ)**を手にヒノカグツチを斬り殺します。
• その際、ヒノカグツチの血が剣や岩に滴り落ち、そこから新たな神々が誕生しました。
• 火の神の死によって生まれた神々は、火の力や鍛冶、戦の神としての性格を持つことが多いです。
• 例えば、タケミカヅチ(雷神)や、カナヤマビコ(鉱山・金属の神)などがいます。
■ ヒノカグツチの象徴と信仰
ヒノカグツチは、火の破壊的な側面だけでなく、火がもたらす恩恵の象徴としても信仰されました。
• 火の浄化作用:火は災いを祓うと信じられ、祭祀や神事での火の使用に繋がります。
• 鍛冶や金属加工:火を用いる鍛冶の技術と結びつき、鍛冶神としても崇拝されました。
• 火伏せの神:火災を防ぐための信仰として、火の神を鎮める儀式も行われました。
■ ヒノカグツチにまつわる神社
ヒノカグツチを祀る神社も存在します。
• 愛宕神社(京都):火の神としての側面が強調され、火伏せの神として信仰されています。
• 秋葉神社(静岡県):火防の神として崇敬を集めています。
■ 神話の意味
ヒノカグツチの神話は、火の持つ創造と破壊の二面性を象徴しています。
• 火は調理や暖房、鍛冶などの文明の発展を支える一方で、火事や災害として恐れられる存在でもあります。
• そのため、ヒノカグツチは人々にとって畏敬の念を抱かれる神であり、火に対する感謝と畏怖の心が表れています。
このように、ヒノカグツチは単なる火の神ではなく、命の循環や自然の摂理を象徴する存在として、日本神話において重要な位置を占めています。

