主天使(Dominions または Dominations)は、キリスト教神学における天使の階級の一つであり、第二階級に属します。彼らは、神の意志を統括し、他の天使たちに命令を下す存在です。
天使の階級における位置付け
キリスト教における天使の階級は、5世紀の神学者偽ディオニシウスが著した『天上位階論』に基づいています。この体系では、天使は以下のように9つの階級に分類されています。
◇ 第一階級(神に最も近い存在)
• セラフィム(熾天使)
• ケルビム(智天使)
• スローンズ(座天使)
◇ 第二階級(神の意思を執行する存在)
• ドミニオンズ(主天使)
• ヴァーチューズ(力天使)
• ポワーズ(能天使)
◇ 第三階級(人間に近い存在)
• プリンシパリティーズ(権天使)
• アークエンジェルズ(大天使)
• エンジェルズ(天使)
主天使は、この第二階級の最上位に位置し、神の意志を他の天使たちに伝え、宇宙の秩序を保つ役割を担います。
主天使の役割と使命
◇ 1. 神の意志の統括
主天使は、神から直接命令を受け、それを他の階級の天使たちに伝達します。彼らはまさに神の計画の管理者であり、宇宙全体の秩序を維持する責任を負っています。
◇ 2. 天使たちへの指揮
特に力天使や能天使のような下位の天使たちに対して、神の意志に基づいた指示を出します。天使たちは主天使の命令に従い、物理世界や霊的世界での役割を果たします。
◇ 3. 宇宙の秩序の維持
主天使は、自然界や霊界のバランスを保つために活動します。神の創造した秩序に従い、あらゆる存在が調和の中で存在し続けるよう導きます。
象徴と描写
• 王冠と杖:主天使はしばしば王冠や杖を持つ姿で描かれます。これは彼らの統治者としての権威を象徴しています。
• 輝く光の環:神の意志を反映する存在として、光り輝くオーラをまとっていることが多いです。
• 白い衣:清浄さと神聖さを象徴する純白の衣装を着ている姿が一般的です。
主天使と他の天使との関係
• セラフィムやケルビム:神の玉座の近くにいる熾天使や智天使が神の意志を受け取ると、それを主天使に伝えます。
• 力天使や能天使:主天使はこれらの天使たちに命令を与え、奇跡や宇宙の秩序を維持するための活動を指示します。
• 大天使や天使:主天使は人間に神の意志を伝える大天使や天使にも指示を出します。
主天使の霊的意義
主天使は、神の秩序の守護者であり、正義と調和の象徴です。彼らの存在は以下のような信仰的な意味を持ちます。
• 神の正義の体現:主天使は、神の意思を忠実に執行し、宇宙の秩序を守ることで、神の正義を示します。
• 霊的指導者の象徴:主天使の役割は、指導者や統治者が正しい判断を下すことを願う祈りの対象として崇拝されることもあります。
• 平和と調和の守護者:彼らの存在は、世界における平和と調和が維持されることを象徴しています。
まとめ
主天使は、神の意志を統括し、宇宙の秩序を維持する重要な役割を担う存在です。彼らは他の天使たちに命令を与え、自然や霊的世界の調和を保ちながら、神の計画を遂行します。
人間の目には見えない存在ではありますが、主天使の働きは私たちの世界の安定と平和を支えていると信じられています。彼らの姿は、神の権威と正義を象徴するものとして、多くの宗教的芸術や文学に描かれています。

