**熾天使(セラフィム)**は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教における天使の一種で、天使階級の中で最も高位に位置付けられる存在です。彼らは神の御前に仕え、絶えず神を称え、神の栄光を象徴する役割を担っています。
本記事では、熾天使の由来、役割、象徴、文化的背景、そしてその影響について詳しく解説します。
1. 熾天使(セラフィム)とは?
(1) 名前の由来
• **セラフィム(Seraphim)は、ヘブライ語で「燃える者」や「炎の者」を意味する「שְׂרָפִים(Seraphim)」**に由来します。
• 「燃える炎」は、神の愛や正義、聖なる怒りを象徴しており、熾天使はその炎のごとき存在として描かれます。
(2) 天使の階級における位置付け
中世の神学者であるディオニュシウス・アレオパギタは、著書『天上位階論』において、天使を9階級に分類しました。熾天使はその最上位に位置しています。
天使の九階級
1. 熾天使(セラフィム)
2. 智天使(ケルビム)
3. 座天使(オファニム)
4. 主天使(ドミニオンズ)
5. 力天使(ヴァーチャーズ)
6. 能天使(パワーズ)
7. 権天使(プリンシパリティーズ)
8. 大天使(アークエンジェルズ)
9. 天使(エンジェルズ)
熾天使は神の最も近くに仕える存在として、神の栄光を直接目にし、その御言葉を受ける役割を担っています。
2. 聖書における熾天使
熾天使の描写は、特に旧約聖書の**『イザヤ書』**において顕著です。
(1) 『イザヤ書』6章2-3節の描写
セラフィムがその上に立っていた。彼らはそれぞれ六つの翼を持ち、
二つで顔を覆い、二つで足を覆い、二つで飛んでいた。
互いに呼び交わして言った。
「聖なる、聖なる、聖なるかな、万軍の主。その栄光は全地に満つ。」
ここで熾天使は、六枚の翼を持つ姿として描かれています。
• 二枚の翼で顔を覆うのは、神の神聖さを直接見ることを避けるため。
• 二枚の翼で足を覆うのは、自らの存在の謙遜を示すため。
• 二枚の翼で飛ぶのは、神の命令を迅速に実行するため。
(2) 熾天使の役割
熾天使の役割は主に以下の3つに分類されます。
1. 神の栄光を称える
• 常に「聖なる、聖なる、聖なる」と神を賛美し続けることで、神の栄光を示します。
2. 神の意志の伝達
• 神からの啓示や命令を他の天使たちに伝え、実行させる役割を果たします。
3. 浄化と裁き
• 罪深い者を神の炎で浄化し、霊的な再生を促します。
3. 熾天使の象徴
熾天使は多くの象徴を通じて表現されます。
• 炎:
熾天使は神の愛と正義を象徴する燃える炎として描かれます。この炎は罪を焼き尽くし、魂を浄化する力を持っています。
• 六翼:
六枚の翼は彼らの神聖さと純粋さ、そして神に対する完全な服従を象徴します。
• 光:
熾天使は神の栄光を反映する存在であり、眩い光に包まれているとされています。
4. 文化的・宗教的影響
(1) キリスト教芸術における描写
中世やルネサンス期の宗教画では、熾天使はしばしば六つの翼を持つ姿で描かれ、神の玉座の周囲に配置されることが多いです。
また、赤や金色の炎に包まれた姿で描かれることもあり、その神聖さを強調しています。
(2) 文学とフィクション
熾天使は現代のファンタジーや文学にも頻繁に登場します。特に神聖な力を持つ存在として描かれることが多く、天使の階級設定やキャラクター造形のインスピレーションとなっています。
5. まとめ
熾天使(セラフィム)は、神話や宗教において非常に重要な役割を果たしている天使です。彼らは神の最も近くに仕え、神の栄光を絶えず称える存在として描かれています。
その姿や役割は、神の偉大さや神聖さを象徴するものであり、宗教的な教義や美術、文学においても広く影響を与えてきました。
熾天使の物語を知ることで、人間と神の関係、そして霊的な浄化と再生の概念について、より深く理解することができるでしょう。

