1. スサノオとは
1.1 基本的な概要
スサノオ(須佐之男命/素戔嗚尊、すさのおのみこと)は、日本神話に登場する神の一柱であり、嵐・海・暴風を司る神です。彼は高天原(たかまがはら)を治める太陽神アマテラス(天照大神)や、月の神ツクヨミ(月読命)と並ぶ「三貴神(さんきしん)」の一柱とされ、重要な役割を担っています。
スサノオは非常に気性が荒く、自由奔放な性格で知られています。そのため、彼の行動はしばしば問題を引き起こし、天界を追放されることもありました。しかし、一方で英雄的な側面も持ち、地上ではヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治する偉業を成し遂げるなど、破壊と再生の神としての役割を果たしています。
1.2 名前の意味と神格
「スサノオ(須佐之男命)」という名前には、以下のような意味が込められていると考えられます。
• 「スサ(荒れすさぶ)」:荒々しく、激しく乱れる様子。
• 「ノオ(男神)」:男性の神を示す言葉。
このことから、スサノオは**「荒々しく暴れる男神」**という意味を持つと解釈されます。その神格には、以下のような特徴があります。
• 嵐と海の神:暴風や荒波を司る存在。
• 破壊と再生の神:天界での破壊的な行動と、地上での英雄的な行動を兼ね備える。
• 戦いの神:ヤマタノオロチ退治の神話から、戦いや剣術と結びつく。
• 農耕の神:後世には農業を守護する神としても信仰される。
スサノオは、単なる荒ぶる神ではなく、混沌をもたらしながらも新しい秩序を生み出す神として、日本神話の中で特異な存在感を放っています。
2. スサノオの神話的背景
2.1 三貴神の誕生
スサノオは、日本神話における創造神イザナギ(伊邪那岐命)の禊(みそぎ)によって生まれました。
イザナギの禊
イザナギは、死んだ妻イザナミ(伊邪那美命)を黄泉の国(よみのくに)から取り戻そうとしましたが、失敗しました。その後、黄泉の国の穢れ(けがれ)を祓うために、川で身を清めました。この禊の際に、以下の三柱の神が生まれました。
1. 天照大神(アマテラス) – 左目を洗ったときに誕生(太陽の神)
2. 月読命(ツクヨミ) – 右目を洗ったときに誕生(月の神)
3. 須佐之男命(スサノオ) – 鼻を洗ったときに誕生(海と嵐の神)
この三柱の神々は、「三貴神(さんきしん)」と呼ばれ、日本神話の中でも特に重要な存在とされています。
2.2 天界での騒動と追放
スサノオは生まれつき荒々しい性格で、しばしば暴れ回る存在でした。彼は「母であるイザナミに会いたい」と泣き叫び、海を荒らし、地上の世界を混乱に陥れました。この行為に怒った父イザナギは、スサノオを**「地上を去れ」**と命じました。
高天原での暴挙
スサノオは、高天原(たかまがはら)を訪れ、姉のアマテラスに自分の潔白を証明しようとします。しかし、彼の行動は次第に過激になり、以下のような暴挙を繰り広げました。
• 田畑を荒らす
• 神々の殿堂を破壊する
• 機織り小屋で狼藉を働き、女神を死なせる
これに激怒したアマテラスは、「天岩戸(あまのいわと)」に隠れ、世界が闇に包まれてしまいました(天岩戸神話)。スサノオはこの責任を問われ、高天原を追放されることになりました。
2.3 ヤマタノオロチ退治
スサノオは天界を追放された後、地上の出雲国(現在の島根県)に降り立ちます。ここで、彼は老夫婦と美しい娘クシナダヒメ(櫛名田比売)に出会い、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)という恐ろしい怪物に毎年娘が生贄として捧げられていることを知ります。
戦いの準備
スサノオは、ヤマタノオロチを倒すために以下の作戦を立てました。
1. 強い酒(八塩折之酒)を作る
2. ヤマタノオロチに酒を飲ませて酔わせる
3. 剣で首を切り落とす
戦いの勝利と「草薙剣」
スサノオの作戦は成功し、ヤマタノオロチを倒すことができました。その際、大蛇の尾から**「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」**が現れました。これは後に「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」と呼ばれ、日本の皇室の三種の神器の一つとなります。
3. スサノオの象徴と信仰
3.1 象徴
スサノオは、日本神話において以下の象徴を持っています。
• 嵐と海:荒ぶる自然の力の象徴。
• 破壊と再生:混乱をもたらしつつ、新たな秩序を生み出す。
• 剣と戦い:ヤマタノオロチ退治の英雄としての側面。
• 農耕神:出雲で国造りを行ったことから、農業神としても信仰される。
3.2 信仰と神社
スサノオを祀る神社は日本各地に存在しますが、特に出雲地方での信仰が厚いです。
1. 出雲大社(いずもたいしゃ)
• 島根県にある、日本を代表する神社の一つ。
• スサノオの子孫である大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀る。
2. 須佐神社(すさじんじゃ)
• 島根県出雲市にあり、スサノオを直接祀る。
3. 八坂神社(やさかじんじゃ)
• 京都市にあり、スサノオを祀る神社の一つ。
スサノオは、日本各地で「疫病除け」「厄除け」の神としても信仰されています。
4. まとめ
スサノオは、日本神話において嵐と海の神、破壊と再生の神、英雄神として多様な側面を持つ存在です。天界での暴れん坊としての一面と、ヤマタノオロチ退治の英雄的な一面を併せ持ち、日本の文化や歴史に大きな影響を与えました。

