クトゥルフ/Cthulhu

1. クトゥルフとは

1.1 基本的な概要

クトゥルフ(Cthulhu)は、アメリカの作家H.P.ラヴクラフトが1928年に発表した短編小説『クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)』に初めて登場した架空の存在です。彼は「旧支配者(Great Old One)」と呼ばれる強大な存在の一柱であり、海底の都市ルルイエに封印され、いつか目覚めて世界を支配するとされています。

クトゥルフ神話の中心的な存在でありながら、クトゥルフ自体は外なる神々(Outer Gods)とは異なり、宇宙の絶対的な支配者ではなく、地球に影響を及ぼす恐怖の象徴的存在と位置づけられています。彼の姿は「巨大な触手を持つ怪物」として描かれ、見る者に狂気をもたらします。

1.2 名前の由来

クトゥルフという名前の発音は、ラヴクラフト自身によれば「クルー=ルー(Khlûl’-hloo)」に近いとされていますが、これは人間の言語では正確に発音できない音であるとされています。そのため、クトゥルフ神話の作品や文化圏によって発音は異なり、英語圏では「カトゥールー(Kuh-THOO-loo)」や「クトゥールフ(Ku-TOO-loo)」といった発音が用いられます。

ラヴクラフトは、クトゥルフという名前が地球外の言語に由来するものであり、人間が正確に発音することはできないと述べており、これがクトゥルフの異質さを強調する要素の一つとなっています。

2. クトゥルフの神話的な役割

2.1 旧支配者としての位置付け

クトゥルフは「旧支配者(Great Old Ones)」の一柱であり、地球上に影響を与える強大な存在とされています。クトゥルフ神話には多くの旧支配者が登場しますが、クトゥルフはその中でも特に有名であり、地球に封印された恐るべき神性の代表的な存在です。

旧支配者の中には、クトゥルフと同じように封印されている者もいれば、自由に活動している者もいます。クトゥルフは眠りについているため、直接的な影響力は持たないものの、夢を通じて信者たちに啓示を与え、目覚めの時を待っています。

2.2 クトゥルフの封印と目覚め

クトゥルフは、太古の時代に何らかの理由で封印され、現在は海底都市ルルイエに眠っているとされています。ルルイエは南太平洋の深海に沈んでおり、通常は人間の目に触れることはありません。しかし、一定の条件下ではルルイエが浮上し、クトゥルフが目覚めることがあるとされています。

クトゥルフの封印に関する詳細は明らかになっていませんが、『クトゥルフの呼び声』では、彼が完全に目覚めると世界は破滅すると語られています。クトゥルフの目覚めに関するいくつかの要素として、以下のようなものが挙げられます。

• ルルイエが浮上することで封印が解かれる

• 特定の星の配置がクトゥルフの目覚めを促す

• 信者たちが儀式を行い、クトゥルフを呼び覚ます

しかし、物語の中ではクトゥルフが一時的に目覚めるものの、再びルルイエと共に沈んでいくという展開が描かれています。

2.3 クトゥルフの影響

クトゥルフは、直接的に世界を破壊する存在ではなく、主に人間の精神に影響を与える存在として描かれます。彼は眠りながらも夢を通じて人々に影響を与え、信者や狂人たちに幻視や啓示をもたらします。 これにより、クトゥルフを崇拝するカルトが世界各地で活動しており、彼らはクトゥルフを目覚めさせるための儀式を行っています。

クトゥルフの影響を受けた者は次第に狂気に陥り、通常の人間では理解し得ない異様な行動を取るようになります。この狂気は「クトゥルフ神話の根幹」ともいえる要素であり、宇宙の真実を知ることで精神が崩壊するというラヴクラフト的恐怖の象徴でもあります。

3. クトゥルフの象徴と解釈

3.1 クトゥルフと宇宙的恐怖

クトゥルフ神話における最も重要なテーマの一つが「宇宙的恐怖(Cosmic Horror)」です。クトゥルフは、このテーマを象徴する存在として描かれています。

宇宙的恐怖とは、以下のような考え方を基にしています。

• 人間は宇宙の中では取るに足らない存在である

• 宇宙には人間の理解を超えた存在が無数に存在する

• それらの存在と接触することは、人間の精神にとって破滅的である

クトゥルフはその姿や能力だけでなく、「人間が決して抗えない圧倒的な力」という概念そのものを体現しています。彼は、特定の意志や目的を持って行動するわけではなく、単にその存在が人間にとって脅威となるのです。

3.2 クトゥルフと宗教

クトゥルフは神のような存在であり、世界各地に彼を崇拝するカルトが存在します。彼らはクトゥルフの復活を信じ、そのための儀式を行います。この構造は、クトゥルフが「神話的な宗教のパロディ」として描かれていることを示唆しています。

クトゥルフ信仰の特徴として、以下のような点が挙げられます。

• 異言(グロス語)を話す信者

• 「フタグン! クトゥルフ ルルイエ ワガナグル フタグン!」といった意味不明な言葉を唱える

• 世界終末的な思想

• クトゥルフが目覚めると世界は変わる(破滅する)

このように、クトゥルフ信仰は現実のカルト宗教と類似しており、ラヴクラフトが当時の宗教観に対する皮肉や風刺を込めていた可能性があります。

4. まとめ

クトゥルフは、クトゥルフ神話の中心的な存在であり、宇宙的恐怖を象徴する最も有名な架空生物の一つです。彼は眠りながらも世界に影響を与え、人々の精神を狂気へと導きます。その姿や神話的役割は、人間の無力さや未知の恐怖を体現しており、クトゥルフ神話の根幹をなす重要な存在として、多くの作品や文化に影響を与え続けています。

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